ともともフェスタ2026に参加しました 〜見て、聞いて、触って楽しむ落語。多様な人々が笑いを共有する舞台へ〜

2026年10月10日(土)、東京駅前の行幸通りで開催された「ともともフェスタ2026」に、一般社団法人落語ユニバーサルデザイン化推進協会(RUDA)が参加しました。

昨年に引き続いての参加となる今回は、古典落語『初天神』の口演と、3D造形物を使った触覚アトラクション「箱の中身はなんでしょう?」を実施しました。

障害の有無や国籍、年齢を超えて、多様な方々が落語の世界を共有し、笑い合う機会となりました。

【開催概要:ともともフェスタ2026 みんなで笑う、落語の未来。ーユニバーサルデザイン落語一】

日  時:2026年10月10日(土)13:30〜14:00
会  場:東京駅前・行幸通り 屋外ステージ
実施団体:一般社団法人落語ユニバーサルデザイン化推進協会(RUDA)
出  演:春風亭昇吉、春風亭弁橋
内  容:古典落語『初天神』の口演、手話・字幕・イラストによる情報保障、
     3D造形物を活用した触覚アトラクション

1.手話・字幕・イラストで楽しむ古典落語『初天神』

ステージでは、代表理事の春風亭昇吉が、古典落語『初天神』を口演しました。

今回の特徴は、手話通訳、字幕、イラストを組み合わせた情報保障です。

落語の口演に合わせて手話通訳を配置し、字幕を表示。
さらに、障害者アーティストの土肥ヨシさんが描いたイラストを大型ビジョンに投影しました。

落語には、独特の言い回しや登場人物の演じ分け、言葉遊びなどがあり、その面白さを手話で伝えるためには、十分な準備が欠かせません。
今回は事前に手話通訳者と内容や進行を確認し、落語の魅力がより多くの方に伝わるよう工夫しました。

音声だけに頼らず、手話、文字、イラストという複数の方法を組み合わせることで、多様な方々が落語を楽しめる環境づくりに取り組みました。

2.昨年の「所作体験」から、今年の「触覚体験」へ

昨年のともともフェスタでは、落語家が扇子や手ぬぐいを使ってさまざまなものを表現する「所作体験」を実施しました。

そして今年は、3D造形物を使った触覚アトラクション「箱の中身はなんでしょう?」に挑戦しました。

この取り組みの原点は、RUDAが2024年に制作したユニバーサルデザイン絵本『まんじゅうこわい』にあります。

同絵本では、視覚に障害のある方にも物語の世界をより具体的に感じていただけるよう、点字や触図、3D造形物などを取り入れました。多くの皆様のご支援により、全国約150か所の盲学校と点字図書館へ寄贈することができました。

今回は、そこで培った触覚による理解の工夫を、誰もが参加できるアトラクションへと発展させました。

箱の中に入った立体模型を、目で見ることなく手で触り、その正体を当てるゲームです。

昨年は、落語の所作を体験する。今年は、触れることで落語の世界を発見する。

体験の方法を広げることで、障害の有無にかかわらず、多様な人々が一緒に楽しめる空間を目指しました。

3.多様な参加者が挑戦した触覚アトラクション

最初に挑戦したのは、字幕などの開発に携わる男性。
『まんじゅうこわい』に関連する3D造形物のカラスに触れていただきました。

続いて、デフリンピック銀メダリストの卓球・亀澤理穂選手が登場。
『初天神』に登場する神社の社を触っていただきました。

その際、春風亭昇吉が「神社は手話でどう表現するのですか?」と尋ねると、鳥居の形を表す手話を教えていただく場面もありました。

さらに、ブルガリアから来日した男性には、大きな寛永通宝、貨幣の模型に挑戦していただきました。
形だけで正体を推測する難しさも、会場全体で共有されました。

視覚障害のある女子高校生にも参加していただき、蛇やもみじ饅頭、初天神に出てきた団子などの立体模型を触って楽しんでいただきました。

参加者の背景はそれぞれ異なりますが、触って考え、驚き、笑うという体験を通じて、会場に一体感が生まれました。

4.今井絵理子参議院議員も挑戦

最後には、今井絵理子参議院議員・内閣府副大臣にもご参加いただきました。
挑戦したのは、東京駅の立体模型です。

手探りで模型の正体を考えていると、客席からはステージの背後を指さす仕草が。

実は、舞台の後ろには本物の東京駅が見えていたのです。

そのことに気づいて「東京駅!」と答えると、会場は笑いに包まれました。

体験後、今井議員は手話も交えながら、物に「触れる」体験が、多様な人々の「触れ合い」につながることの大切さを語ってくださいました。
触覚を通じた体験が、人と人との交流へと広がる、象徴的な場面となりました。

5.触れることから、心が触れ合うことへ

今回の触覚アトラクションは、視覚障害を疑似体験することを目的としたものではありません。
普段は視覚に頼って認識している物の形や特徴を、触覚という別の感覚から捉え直すこと。
そして、障害の有無にかかわらず、同じ体験を共有し、一緒に楽しめる空間をつくることを目指しました。

文化のユニバーサルデザインとは、すべての人に同じ楽しみ方を求めることではなく、それぞれに合った方法で文化に参加できる選択肢を広げることです。

昨年の所作体験、今年の触覚体験。

RUDAは、落語の楽しみ方を一つずつ増やしながら、誰もが伝統文化に親しめる環境づくりを進めています。

6.代表理事 春風亭昇吉より

今回、何よりうれしかったのは、障害の有無や国籍、年齢を超えて、
皆さんが一緒に笑ってくださったことです。

落語は、想像力によって世界を生み出す芸能です。
その想像力は、私たちと異なる感覚や経験を持つ人の世界を理解する力にもなるのではないでしょうか。

今回、皆さんが触れたのは、単なる立体模型ではありません。
その驚きや笑いを通して、人と人との心が触れ合いました。
文化の豊かさとは、すべての人が同じように楽しむことではなく、それぞれの違いを持ち寄って、一緒に楽しめることなのだと思います。

落語は、人を笑わせる芸能です。
そして今日、笑いには人と人との垣根を越える力があることを、改めて教えていただきました。

7.今後の活動について

RUDAでは現在、ユニバーサルデザイン絵本の第二弾として、古典落語『初天神』の制作を進めています。

今後も、手話、字幕、イラスト、3D造形物などを活用し、誰もが落語という伝統文化を楽しめる環境づくりに取り組んでまいります。
今回の公演では、落語家の春風亭弁橋さんがお手伝いしてくれました。これからも、RUDAの活動に賛同してくれる落語家仲間も増やしていきます。

最後に、ご参加いただいた皆さま、ご協力いただいた関係者の皆さまに、心より御礼申し上げます。

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