公益財団法人都市緑化機構 ユニバーサルデザイン共同研究会にて講演しました

2025年6月17日(火)、公益財団法人都市緑化機構の「ユニバーサルデザイン共同研究会」の総会で講師として登壇し、
ユニバーサルデザイン落語(UD落語)の取り組みを紹介する講演および体験プログラムを実施いたしました。

本会は、UDの理念を実空間にとどまらず、人と人との関係性にまで広げていくための学びの場として企画され、都市緑化関係者など約20名が参加。落語を通じて“共に笑う”体験を共有しました。

 

■開催概要

日時:2025年6月17日(火)16:00〜17:30
場所:公益財団法人都市緑化機構 会議室(東京都千代田区神田神保町)
主催:公益財団法人都市緑化機構 ユニバーサルデザイン共同研究会
協力:一般社団法人落語ユニバーサルデザイン化推進協会(RUDA)
参加者数:約20名(視覚障害・聴覚障害のある方を含む)

 

■企画背景と目的

公共空間としての「公園」や「緑の場」には、年齢・障害・文化の違いを越えて、誰もが心地よく過ごせる“共生の場”としての役割が求められています。ユニバーサルデザインは、そうした空間づくりの視点であると同時に、人と人との関わり方そのものにも関係しています。

今回の講演では、日本の伝統話芸である「落語」を通じて、ユニバーサルデザインを“体感”できるプログラムを構成。笑いや遊びの中で、情報の多様な伝え方や受け取り方、協働の大切さを学び合う機会としました。

講演「誰もが楽しめる落語の普及を通じて目指すもの」

講演「誰もが楽しめる落語の普及を通じて目指すもの」

 

■プログラム

• 開会・研究会紹介
• 講演「誰もが楽しめる落語の普及を通じて目指すもの」
• UD落語絵本『まんじゅうこわい』の朗読
• チーム対抗ゲーム「答えは点でわからない」
• 落語「金明竹」
• 質疑応答
• 閉会挨拶
• 交流会

 

■チーム対抗「答えは点でわからない」

チーム対抗形式で実施されたこのプログラムでは、参加者全員がアイマスクを着用し、模型を触ることで視覚に頼らない情報収集を体験。その後、チームで話し合いながら内容を推測し、点字カードの解読を通じて正解を導き出します。

手探りで進むやり取りの中で、即席のチームにもかかわらず自然と声をかけ合い、確認し合う姿があちこちで見られました。

会場全体が“共生”というキーワードを体で表現しているような、あたたかな時間となりました。

アイマスクをして参加者同士が手探りで3D模型を渡します

アイマスクをして参加者同士が手探りで3D模型を渡します

 

チーム内で声をかけあいながら3D模型を触っていきます

チーム内で声をかけあいながら3D模型を触っていきます

 

手分けして点字カードを解読していきます

手分けして点字カードを解読していきます

 

■講演を通して

今回の講演は、視覚障害(ロービジョン)の当事者であり、UD落語絵本の制作にも携わってくださった芳賀優子さんのご紹介により実現しました。落語に限らず、誰かの「共にやりたい」という思いが、次の場へとつながっていくのだと、あらためて感じています。

また、参加者のひとりであるCLEAR JAPANの宮谷真紀子さん(聴覚障害・難聴)からは、「男性の声は聞き取りづらいことが多いが、昇吉師匠の声はとても聞こえやすかった」とのお言葉をいただきました。音の高さや話し方ひとつで伝わり方が変わるという、言葉以前の大切な気づきを得ることができました。さらに、音声による情報保障のあり方についてもご示唆をいただき、今後の取り組みに向けて大きな学びとなりました。

落語「金明竹」

落語「金明竹」

 

■最後に

今回の講演と体験を通じて、落語の持つ「わかりやすさ」「想像力を刺激する力」「他者への共感を促す力」が、ユニバーサルデザインの理念と深く響き合うことを再認識しました。

RUDAでは今後も、公共空間、教育現場、福祉施設など、あらゆる場所で“誰もが笑える寄席”の実現を目指し、活動を続けてまいります。

ご参加くださった皆さま、そして貴重な機会をくださったユニバーサルデザイン共同研究会の皆さまに、心より感謝申し上げます。

春風亭 昇吉 拝

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