ともともフェスタ2025 〜迎賓館からはじまる「共生社会」〜に参加しました

2025年5月31日、迎賓館赤坂離宮にて開催された『ともともフェスタ2025 ~迎賓館からはじまる「共生社会」~』

内閣府が主催するこの一大イベントに、私たち落語ユニバーサルデザイン化推進協会も参画しました。

 

 

◼︎ 会場が“寄席”になるまで

迎賓館という、ちょっとやそっとの舞台では味わえない重厚感の中、『一番太鼓』『二番太鼓』を響かせ、

寄席の雰囲気を演出します。

高座に緋毛氈、めくりを立てて、視覚的にも「落語が始まりますよ!」とお知らせします。

 

舞台

舞台

 

 

13時10分、いよいよ開演。今回の“フェスタ”にちなんで出囃子は『祭囃子』で登壇しました。

まくらではUD落語の取り組みを写真と共に紹介。手話通訳・要約筆記のサポートをいただいて、

まさに“情報保障付きの寄席”が完成しました。

 

演目は古典落語『まんじゅうこわい』。

 

事前に台本を手話・要約筆記の方々と共有していたため、ライブ感はそのままに、

どなたにも楽しんでいただける工夫をしました。

下手側に要約筆記のモニターを設置

下手側モニターには要約筆記が投影されている

 

上手側に手話通訳のモニターを設置

上手側モニターには手話通訳者が投影されている

 

 

◼︎ 五感で味わう、落語の世界

 

今回は“見る”“聞く”だけではありません。

「そばをたぐる」「刀を抜く」など、落語の所作を実際に体験していただくコーナーも実施しました。

 

しかもこのコーナー、豪華なゲストも参加!まさかの展開に!

 

まずは、扇子を刀に見立てて抜く所作。内閣府特命担当の三原じゅん子大臣が凛とした姿で刀を抜きます。

時代劇の名場面を彷彿させるキレのある一振りを演じていただきました。

さすが、さまざまな名作へ出演されたご経験のある三原大臣です!

三原じゅん子大臣による落語の所作体験

三原じゅん子大臣による落語の所作体験

 

続いて、扇子を箸に見立てて、そばをたぐる所作。全国脊髄損傷者連合会千葉県支部長の露﨑耕平さんが

車いすで高座の前に出ていただき、実演していただきました。

アドリブ満載の掛け合いで、会場はどっと笑いの渦に。

落語家も顔負けの演技力で、共生社会の一体感が目に見えるような瞬間でした。

 

露﨑さんによる落語の所作体験

露﨑さんによる落語の所作体験

 

 

◼︎ “落語のユニバーサルデザイン化”を形にする

 

今回の取り組みでは、以下のような工夫を取り入れました。

 

• 視覚障害のある方にも「始まり・終わり」がわかるよう、太鼓やお囃子で演出

• 緋毛氈や高座、めくりで視覚的な「寄席らしさ」を強調

• 写真・資料で過去のUD落語の取組を共有し、これまでのあゆみを可視化

• 手話通訳・要約筆記を大型モニターに投影し、リアルタイム情報保障を実現

• 所作の言語化により、視覚情報も言葉で伝える工夫

 

“落語を五感で楽しむ”ための工夫をできるかぎり詰め込んだ30分でした。

 

 

◼︎ 未来への一歩

 

今回、私たちが実感したのは、「誰もが笑える空間」には、ちょっとした工夫と、ほんの少しの勇気と、

そしてたくさんの笑いがあればいいということ。

 

落語の笑いと他者への共感を、格式ある迎賓館という晴れの舞台で、多様な来場者とともに共有できたこと。
私たちの目指してきた「ユニバーサルデザイン落語」が花開いた瞬間でした。

 

今後も、新しい技術を活用した情報保障の仕組みやコンテンツを研究開発するとともに、

全国の学校・福祉施設・地域イベントなどへ、活動を広げていく所存です。

 

◼︎ 最後に

見える・見えない、聞こえる・聞こえにくい。

さまざまな違いを超えて、皆さんと一緒に“落語を楽しんだ”という事実が、私たちの何よりの財産です。

 

本日交わした笑顔と拍手の余韻が、少しでも皆さんの明日につながれば幸いです。

これからも、共に笑うユニバーサルデザインの落語を、一席一席、丁寧に届けてまいります。

 

荒天の中、ご来場いただいた皆さま、そして、このような貴重な機会をいただいた内閣府の皆さまをはじめ、

運営スタッフ・関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

終演後、三原じゅん子大臣と昇吉

三原じゅん子大臣と昇吉

全国脊髄損傷者連合会千葉県支部 露﨑支部長と昇吉

全国脊髄損傷者連合会千葉県支部 露﨑支部長と昇吉

 

春風亭昇吉 拝

 

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