玉野市立図書館で「みんな笑顔でユニバーサルデザイン落語会」を開催しました
2025年11月22日(土)、玉野市立図書館・中央公民館(岡山県玉野市)にて、
『みんな笑顔でユニバーサルデザイン落語会』を開催しました。
本企画は、UDトークによる字幕表示・3D模型などの触図教材などを用い、
障がいの有無や世代を問わず、誰もが同じ場を共有し、笑い合えることを目的とするものです。
申込開始から1日で満席に達し、地域の期待と関心の高さがうかがえる催しとなりました。

■ 開催概要
日 時:2025年11月22日(土)13:30〜15:30(13:00開場)
会 場:玉野市立図書館・中央公民館 多目的室(大)
主 催:玉野市立図書館・中央公民館
協 力:一般社団法人落語ユニバーサルデザイン化推進協会(RUDA)
参加者:78名(全盲の方 1名/車椅子利用者 3名/聴覚障害のある方 1名 ほか)
演 目:春風亭昇吉「時そば」(UD落語版)
体験プログラム:江戸の銭(寛永通宝)を用いた「時そば」再現
和時計・そば屋台などの3D模型体験
展 示:点字付きさわる絵本「まんじゅうこわい」と3D造形物(ヘビ、ムカデ、まんじゅうなど)
実際の3Dプリンターによる寛永通宝の作製

■ 企画背景と目的
本会では、
・落語のわかりやすさ
・想像力を広げる言葉の力
・触って学べるUD教材
・字幕による情報保障
を組み合わせた“体験型UD寄席”を構築。
「共生社会を、体感として学べる図書館イベント」を目指して実施しました。
■ 当日の様子
1. 開会挨拶
冒頭では、
柴田義朗玉野市長、株式会社図書館流通センター谷一文子社長より、
「共生社会」「文化と福祉の融合」について言及があり、
UD落語の持つ社会的意義が共有されました。


2. UD落語「時そば」
演目では、随所で大きな笑いが起こり、
私自身も「伝わっている」と強く感じる時間となりました。

特に印象的だったのは、
実際の寛永通宝を使い、客とそば屋のやりとりを再現する場面です。
目の不自由な方と車椅子の方が、
“江戸時代の銭の手触り”を頼りに芝居を体験し、
会場全体に一体感が生まれました。

3. 3D模型を使った体験プログラム

和時計・そば屋台の3D造形物に触れた参加者からは、
「こんなふうに造形できるんだ」
「触るとまったく違う世界が見える」
といった驚きの声が上がりました。

3D教材は総じて好評であり、
UDトーク字幕も補助的ながら効果を発揮しました。
一方で、字幕がフリートークに完全には追随しない点は、
今後の改善課題として共有できました。
■ 主催者・スタッフのサポートについて
準備段階では、
正子敦司館長を中心に、図書館スタッフの皆様が複数回のWEB打合せを実施。
UD落語の趣旨と細部を丁寧に共有してくださったため、
当日の運営に齟齬がほとんどなく、非常に円滑な進行となりました。
受付・誘導・優先席案内など、
参加者に寄り添ったお声がけが徹底されており、
「図書館が地域のやさしさを体現する場」
としての魅力が強く感じられました。
■ 参加者アンケート(有効回答70件)
内容が「とてもわかりやすい/わかりやすい」 ……93%
UD理解が「深まった/少し深まった」 ……98%
「生の落語が初めてだったが、とても面白かった」
「子どもにも体験してほしい」
「また開催してほしい」
などの声が多数寄せられました。
■ RUDAとしての学び
今回特に大きかった学びは、
“時そばを実際の銭で再現する”という試みの手応えです。
触覚的な体験を通じて、
「他者の世界の見え方」を自然に理解できるプログラムは、
図書館という公共空間と非常に相性が良いと再確認しました。

■ 今後の展望
玉野市や玉野市立図書館、図書館流通センターとの連携をさらに深め、
UD絵本を用いたこども向け読書プログラム
手話落語や多言語字幕との連携
3D模型・触図を活用した継続ワークショップ
など、“学びと文化の両立”を追求した企画を検討してまいります。
■ おわりに
今回の玉野市での取り組みは、
「図書館×UD×落語」という新しい形の共生文化事業として、
RUDAにとっても大きな一歩となりました。
ご参加いただいた皆さま、
本企画を支えてくださったすべての関係者の皆さまに、
心より感謝申し上げます。

春風亭昇吉
一般社団法人落語ユニバーサルデザイン化推進協会(RUDA)